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記憶の中の詩

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2006-09-19 [ Tue ]

夜と朝のあいだで、稲妻が光った。
遮光カーテンを閉じていても、空一面照らされたのがわかる。
それでもかまわずキーを叩きつづける。

やや遅れて雷鳴が轟く。
指先にぴりりと痛みが走った。
そのまま記憶ごと遠くへひき戻された---

キャンプ・ファイヤーを囲みながら意識が遠のきかけた私は
有無を言わさず車に積みこまれた。
気持ちが昂っているのか落ちているのか、
日本語でずっと喋りつづける。
そして、どうしても自転車をピック・アップして
乗って帰るのだと、寝言のように言いはった。

野外パーティの会場から小さな車で搬送されてくる間に
暗闇に乗じて嵐は私たちの背中をとらえていた。
静まりかえった路地路地を抜け、
自転車で鉄道の跨線橋を渡ったところで
すさまじい雷雨が2台の自転車を襲った。

つき刺さる雨。
凶暴な向かい風。
街灯もない幹線道路に
時おり稲妻が光って、白い雨脚を煌々と照らす。

ふり向いて投げてくる声を雷鳴が遮る。
叫びかえそうとする言葉を雨と風が塞ぐ。

それでもなぜか、私が行こうと言った緩やかな上り坂を登りはじめる。

爪先に体重をぜんぶかけて漕ぎのぼりながら、まちがいに気づく。
胸突き八丁ではあっても、もっと手前の坂を行ったほうがよかった。
遠くまできてこの緩い坂、ゆるいだけではなくて
延々とループ状に高台へと高まっていくのだ。
でも必死に先導するアオと騎手の背中に
そんな言葉を投げつけることはできなかった。

丘を登りきるとできすぎた皮肉のように
たちまち嵐は静まった。
熱いシャワーと乾いたタオルで息を吹きかえして、
迎えた朝はからんと晴れあがっていた。
階下へ降りてゆくと
玄関の横に停めた自転車がぴかぴかに乾いて主を待っていた。
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