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記憶の中の詩

2005-12-28 [ Wed ]

「あなた絵が上手よね」
「あなたの絵、好き」
昔から親しい友人たちに言われる。
嬉しくないはずがない。
---私がそんなに絵を描く、ならば。

自分ではほとんど描いている自覚がない。
描けないと、苦手だと思っているから。
高1だったか、芸術科目が選択になったときは
迷わず音楽を選んだ。
歌うことは好きだったし、苦手だと思ったこともない。
イーゼルとキャンバスを校内のあちこちに広げている
級友たちの姿は楽しそうだったけれど、現実には
秋から冬にかけて、わざわざ学校の周りを流してくる
焼芋売りのおじさんを呼びとめられないのが
残念だっただけだ。
それよりも、歌っていたかった。

「でも、私あなたの絵を見たことがあるわよ」
友人たちは口を揃えて力説する。
「覚えがないのは、気張って描いたりしないからでしょ。
ちょっとした時に、ありあわせの紙になにげなく描くものが
いつも好きだったわ」
「自動筆記 autographie」とは、まぁなんとご大層な(笑

暮れの都心で、小1時間ほど時間が空いてしまった。
ちょうどコーヒー・ショップにいて
読みかけのペーパー・バックもあったのだけれど、
BGM が耳ざわりで、とにかくその場を逃げ出したかった。
次の予定の場所は、駅を背に幹線道路を渡ったところにあるが、
数十メートルほど戻って画材屋に入った。
製図道具や文房具はなるほど大好きで
学生時代通った店だ。

いつも持ち歩いている手製(笑)メモ・パッドと同じ
A4の小さなスケッチ・ブックを買い、
絵具のフロアへ移動。
ほんとうは水彩セットを探すつもりだったのに、
つい癖で色鉛筆に眼がいってしまう。
外国製の色鉛筆。
セットでもバラでも、そういえばずいぶん買った。
母の誕生日に、水彩色鉛筆を選んだこともある。
水彩色鉛筆なら私も持っている・・・
しばらく懐かしい香りと、微妙な色あいを楽しんで
「パステル色鉛筆」の12本セットを手に取った。
そうだ、こないだ誕生日を迎えた自分に
これをプレゼントしよう。

あと30分あまり。
ここも師走のざわめきが満ちているけれど
とにかく明るい中央集配局のソファに座り、
いつも持っている0.7mmの製図用シャープ・ペンシルで
さっそくデッサンを始めた。
ありきたりながら、まずは自分の手から(微笑
昔絵が上手だったのかどうかはともかく、
今は線1本さえ、見えているものの形どおりに引けない。
たどたどしく線を引いていたら、携帯電話が鳴った。
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