journal in japan

記憶の中の詩

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2006-08-09 [ Wed ]
美しいものになら ほほゑむがよい
涙よ いつまでも かはかずにあれ
陽は 大きな景色のあちらに沈みゆき
あのものがなしい 月が燃え立つた

つめたい!光にかがやかされて
さまよひ歩くかよわい生き者たちよ
己は どこに住むのだらう――答へておくれ
夜に それとも昼に またうすらあかりに?

己は 嘗てだれであつたのだらう?
(誰でもなく 誰でもいい 誰か――)
己は 恋する人の影を失つたきりだ

ふみくだかれてもあれ 己のやさしかつた望み
己はただ眠るであらう 眠りのなかに
遺された一つの憧憬に溶けいるために

(mit.Tat.「暁と夕の詩」)

*「嘆けとて月やはものをおもはする かこちがほなるわが涙かな」
による本歌どり〔パロデイ〕
2006-08-05 [ Sat ]
大きな大きなめぐりが用意されてゐるが
だれにもそれとは気づかれない
空にも 雲にも うつろふ花らにも
もう心はひかれ誘はれなくなつた

夕やみの淡い色に身を沈めても
それがこころよさとはもう言はない
啼いてすぎる小鳥の一日も
とほい物語と唄を教へるばかり

しるべもなくて来た道に
道のほとりに なにをならつて
私らは立ちつくすのであらう

私らの夢はどこにめぐるのであらう
ひそかに しかしいたいたしく
その日も あの日も賢いしづかさに?

(mit.Tat.「萱草に寄す」)
2006-08-02 [ Wed ]
was hat man dir, o du armes kindchen, angetan?
2006-07-28 [ Fri ]
 -O.H. の短編によせて-

いくら杯を重ねたところで
いくら言葉を紡いだところで
呷った火酒が小川と流れはじめたところで
流れは源へ遡ってゆくことはできない
どれほどひたむきに言挙げをしたところで
アルプス山中の一滴は
大地のかたむきのままに せせらぎ旅だってしまったの

ただ
その唇に 瞳に 指先に
こめられた想いが紛いようのない真実ならば
この先の流れを いかほどかは撓めることはできる
水にもともとかたちはないもの
水底をかたちづくっていくのは
いくつものいくつもの 小さなひとしずく ひとしずく
そして真実が流れるならば
舟はたゆたいながら 波に運ばれてゆく

ただ
楫だけは放さないで


Lure-Ley, Lure-Ley,
als waeren wir zu dreien!
2006-07-19 [ Wed ]

流れ 流れて
でもオフェーリアではないから
髪がほつれすぎないように気をつけましょう
2006-07-17 [ Mon ]

示された狭い階段を足探りすると
水の中へ降りてゆく感覚があった。
たどり着いた空間は、まさしく水の底。
苔と水の匂いが浸みこんでくる。
冷え冷えした真空に
しばし揺れ 揺られ 揺らして 揺らぐ。
地上の驟雨はいつしか晴れていたが
歩みだすと髪も、服も
ぬるい湿気を含んでたちまち重くなった。
2006-07-15 [ Sat ]
赤いワンピースに赤いサンダル、
赤いバッグで出かける。
水色の「あお」に乗って。
すっかり黒ずんだ空気を切って。
風をきればきるほど
頬もうなじも、肩さえも濡れていく。
夏の夜。
洗いたてを編みあげた黒髪も
襟足のあたりがしとってくるのが
肩甲骨の神経をつうじて伝わってくる。
かえり着いて、じっと風にあたる。
ほどいた髪は頬に首筋にまつわりつきながら
しだいに素直に背中を流れる。
洗っただけの長い髪は
休みの前日だけのぜいたく。
赤い酒をすすりながら
足の爪を赤く染める。
2006-07-14 [ Fri ]
ハンカチを買ったのは
傷をしばるためではなく
涙をおさえるためではなく
汗をぬぐうためではなく・・・
カラーの柄のハンカチを買ったのは
とある老詩人を思い出したから
酒を愛し、蝶を愛し、若い人たちを愛し
聖金曜日の朝に
明治の文豪と昭和の文士の隣に
桂冠詩人の座を得た老師が
兄弟子に私が贈ったカラーを
お前がもつと葱だと、
結婚祝いなのにこてんぱんに
笑いながらくさした春の日を思い出したから
2006-07-10 [ Mon ]
-聖イオアンと聖マリアのあいだ-

翔りゆかな梔子匂う薄紗まといて

* * *
  珠の緒
バッグの奥からネックレスがでてきた
指先でころころと揺れるベビー・パール
絡まないように、縺れないようにそっとまた戻す
私の頸には細いチェーン
夏の宵のけだるい風には
それだけでじゅうぶんな重さだ
 ---ロザリオのチェーンを絡ませた m. の言葉をうけて

* * *
あちこち開け放たれた窓から
梔子の香りが流れこんでくる
急カーヴでちょっと揺れても
香りに誘われて前についと伸ばした背も踝も
しなやかに撓んでぐらつきもしない
そのまま風を孕んで
夜気を漂いのぼってゆきたくなる
十四夜の月を目ざして
2006-07-08 [ Sat ]

十二夜の月が
白い夜空に
浮かんだり 隠れたり
まるでゆきつ戻りつするように
南天へとにじってゆく
夕方ほんのりとひらついただけの雨が残していった
波の音がひたひたと ものみなを浸してゆく
2006-07-07 [ Fri ]
zieh mich tief zu dir ins wasser
hauch mir leben ins gesicht
keine lust nur luft zu atmen
und ohne dich da geht es nicht
wolln den boden nicht mehr spuern
nur ein schritt nach vorn zum leben
egal wie es passeirt
perlentaucher - nimm mich mit auf deine reise
perlentaucher - ganz egal wie tief
und wenn wir keine luft mehr kriegen
wenn die wellen uns besiegen
weiss ich doch
wir haben die perlen uns verdient
jeder kuss schmeckt nach verlangen
und kein wort muss ich erklaeren
nur mit dir kann ich erleben
mich am dasein ganz verzehrn
hoer nicht auf mit mir zu tauchen
lass nicht los, nicht heute nacht
nur ein schritt nach vorn zum leben
egal wie es passeirt
2006-06-29 [ Thu ]
桜並木がぜんぶこちらへ倒れてきそうな坂のほとりに
海があった。
ほてった足を浸してみる。
読めない文字のパッケージや
錆びた自転車のフレームが纏わりついてきて
美しい海 il mare bello の海中散歩とはいかなかったけれど。

この浅瀬を過ぎていけば
そこにはほんとうの海がある。
この小舟をずっと慈しみ護ってきた海がある。
羅針盤のその方位には
小さな紅い石が填めこまれている。
けっして水脈〔みお〕を失うことがないように。

sono la nave --- sei il mare.
2006-06-21 [ Wed ]
夏至の空は
いつまでも白く 白く
ただ魂だけが
どこまでも高く 高く
2006-06-18 [ Sun ]

水面が凪いでゐるのです。
漣をおこすには、子守唄を歌ふのです。
最後まで聴いたひとは死を得るのです。
最後まで聴けるのでせうか。
最後まで歌へるのでせうか。

空の蒼と水の藍のあひだ。
舟からそつと浸されるナイフ。
たちのぼる香り。

舟べりに小鳩が舞い降りるのを
待つとしませうか・・・
2006-06-16 [ Fri ]
暗闇の中で雨が降りだしたのを知る。
首の後ろを雨音が突き抜けていく。
脊髄をきりきりと捩じあげるモラヴィアの調べと違って
竹のささらのようなその拍子は
指を折って韻を数えつづける
存在をあとかたなく流し去ろうとでもするように。

乱れ打ちが止むと午後の青空。
暖かく乾いた風に乗って白い鳩が飛んでくる。
嘴にはオリーヴの小枝。
少年がどこかで歌っているのだ。
澄んだ力強い声で
言葉のないのびやかなメロディ。
ルフランのつもりかヴァリアシオンのつもりか
ためらいながら軽やかに滑りひろがっていくディヴェロップマン。
やがて鳩は歌いながらもっと遠くへ飛んでいった。
2006-05-21 [ Sun ]

窓を開けても、港は見えない。

朝から陽ざしが強かった。
窓の下には、桜の大樹が並んでいる。
毎朝夕見なれたはずの光景なのだが。
新緑というにはもうたっぷり太陽を吸いこんだ枝々が
A. 兄弟か B.N. のバロック彫刻のように
ぐいと眼前に迫ってきた。
それで初めて、いつしかこの樹々が
けっして小さくはない区画の半分をも覆うほどに
育っていたのを知った。
心がどんどん内向きになっていた間に。
足はどんどん外を向いていた間に。

濃い緑の蔭と息のつまるような湿った香り。

「(…)ここへ登って来られるとき、御覧になりませんでしたか、ドクター。
今年は小麦がとてもよく育っているのを。今の季節に、もうこんなによく
のびて、葉の色が深くなっているのは、奇蹟的なことです。(…)」
(A.S.)
2006-04-20 [ Thu ]

今頃あのへんは、山吹がきれいでしょう。

そう、あちらこちらに鮮やかな黄色の花が。
それから、桐。
どこからでも見えるほど
幹も、枝も、花もぴきんと上を向いて
カーヴを曲がるごとに谷の下から、
川のほとりから姿を現す。
薄紫の花が咲くのはもうすぐ。

でも、鉄道の向こう側の釣鐘型の山には
けっきょく上らなかった・・・
2006-04-16 [ Sun ]
Pirosmani: Easter-Lamb

(Niko Pirosmani, "Easter-Lamb")


屠られた子羊、自身の血によって私たちを神に贖って下さった子羊こそが、
力と、富を、知恵と、勢いと、誉れと、栄光と、賛美とを受けるにふさわしい。
御座にいます方と子羊とに、賛美と、ほまれと、栄光と、権力とが、世々限りなくありますように。

アーメン

(ヘンデル『メサイヤ』;ヨハネ黙示録5:12-13)
2006-04-05 [ Wed ]
うららかな春 青める柳のもとで
女がひとり 波に身をゆだねる
急流を劈いて 舟びとの舵をとらえた
その声ももう 歌うことなく
ほんのかすかな漣に
柳の若枝が その頬をふちどっていく
まだわずかに冷たい風が
大河へ海へと その身を揺らしていく

o mio padre Johannes Nepomukus!

ふいにどこからか声がして
橋のたもとに佇む人が
俯いた額を そっと上げる
悲しげな指をゆっくりのばして
水面を漂う女に さしのべる

それから女は橋のたもと
ネポムク様の足もとに座って
舟びとや釣りびと 川遊びの子供たちを
日がな見守っている
低い声で 古い唄を口ずさみながら

あるとき ひとりの偉丈夫が 馬を駆り
橋を通りかかったが
ルーレは黙って微笑んで
その姿を見送った

Lure Ley, Lure Ley,
poiche eravamo tre!

(2005/04 再掲)
2006-03-26 [ Sun ]
マグノリアが空色と褐色のあいだに
冬と春との間に 白い花をもたげている
そのふっくらした両の掌〔たなごころ〕の中に
すべてを包みこむように
 --我われだけが堕ちてゆくのではない
   我われをとり囲む世界のすべてが
   奈落へと堕ちてゆくのだ!!!--
あらゆる色を溶かし流しこんだ 純然たる白
馥郁たる白から また萌えだしてゆく彩〔いろどり〕のいのち
2006-03-15 [ Wed ]
ここ何日か、月が満ちていくのを見つめていた。
晴れたり風花が舞ったあと、
ゆうべの月は澄んで美しかったが
満月は今朝8時すぎだったようだ。
今宵、弥生もちづきを眺めながら
久しぶりにヤナーチェクかシマノフスキを聴こうか。
2006-03-01 [ Wed ]
なんのことなしにふり返ると、向こうに女性の横顔があった。
・・・・・・
ひとつの名前がひらめいた。
そっと確かめたら、やはりその人だった。
髪はほとんど白くなり、日本に長く暮らした人が往々そうであるように、
一見してはエキゾチックな日本の老婦人にも見える。
しかしまた、かつては広大な版図を誇った帝国の末裔の民族らしく、
複雑な血の混じった繊細な顔だちは、わかる者にはわかる。
2-3年前だったか、日本人の夫を突然襲った悲劇で、
未亡人になった人である。

つと彼女は立ち上がり、日本茶を淹れにいった。
その貴婦人然とした立居振舞はやはり大和撫子のようでもあり、また
彼女の故国のさる女流詩人を彷彿させもした。
---そう、突如公安に夫を処刑され、
彼の子であるというだけの理由で、一人息子まで投獄された、あのひとである。
面会を待つ長蛇の列で他の母親から託された思いを、
心の中で我が子の名を呼びつづけた痛みを、
「記憶のなかの詩」に編みつづけた---

父を暴漢に奪われた娘は、
母の柔らかい顔だちに、凛とした光を放つ父の眼が美しい。
真相を求めて父の遺品、とくに遺稿を一人で整理・調査しているという。

それから私は鞄をとって、
彼女を包む静謐の空気をネガのように浮きあがらせている、
いつになく浮き足だったその空間を出た。

(2004年10月:再掲)
2006-02-02 [ Thu ]

アブラハムと3人の客

旅人をもてなすことを忘れてはならない。このようにして、ある人々は、
気づかないで御使たちをもてなした。
(ヘブル13:2)

『わたしの父に祝福された人たちよ、さあ、世の初めからあなたがたのために
用意されている御国を受けつぎなさい。あなたがたは、
わたしが空腹のときに食べさせ、かわいていたときに飲ませ、
旅人であったときに宿を貸し、裸であったときに着せ、
病気のときに見舞い、獄にいたときに尋ねてくれたからである』。
そのとき、正しい者たちは答えて言うであろう。
『主よ、いつ、わたしたちは、
あなたが空腹であるのを見て食物をめぐみ、
かわいているのを見て飲ませましたか。
いつあなたが旅人であるのを見て宿を貸し、
裸なのを見て着せましたか。また、いつあなたが
病気をし、獄にいるのを見て、あなたの所に参りましたか』。
すると、王は答えて言うであろう。
『あなたがたによく言っておく。
わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、
すなわちわたしにしたのである』。
(マタイ25:34-40)

Abraham met zijn drie gasten(アブラハムと3人の客)
http://www.theunis.nl/Marc%20Chagall.htm
2006-01-31 [ Tue ]
図書館が好きだ。
本屋も古本屋も好きだけれど、
図書館だの文書館だので
時間の流れを吸いこんだ紙の匂いを嗅いでいると
こういう空間で生きていたかったはずなのだと
よく思う。

このあいだは近所の図書館へ行った。
公民館の一部を利用した、
文教都市とは思えない schaebig な「図書室」だ。
読むべき本は、部屋や大学図書館にある。
地下の喫茶室からコーヒーの香りがのぼってき、
老婦人が入口近くで世間話をしている。
編み物をしながら新聞を何種類か読む。

何もかもが旧式でのんびりした雰囲気に、
かえって発想はとっぴなところへ飛ぶ。
ユーリと運命の再会を果たしたとき、
ラーラは田舎町の図書館にいて、
蔵書カードをタイプライタで打っていたのだ。

腋の下で手を温めながら
暖房の乏しい部屋で受験勉強をする少女。
アイロンを交互に焼きながら
野戦病院でリネンのしたくをする看護婦。
タイプライタから顔を上げ、
カウンタの向こうにユーリの姿を認めて驚く司書。

そんなふうにまったく飾らないとき、
ラーラはいちばん毅然としてエロティックだ。

もちろん私はラーラではなく、
「ユーリ」との記憶はすでに遠く薄らいでいる。

ただ、時折映画のそのシーンに還っていきたくなるのは
文学少女の昔からの、私の稚い夢想癖だ。
2006-01-11 [ Wed ]
御使と格闘するヤーコブ

ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。
ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいに
さわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。
その人は言った、「世が明けるからわたしを去らせてください」。
ヤコブは答えた、「わたしを祝福してくださらないなら、あなたを去らせません」。
その人は彼に言った、「あなたの名はなんと言いますか」。
彼は答えた。「ヤコブです」。
その人は言った、「あなたはもはや名をヤコブと言わず、
イスラエルと言いなさい。あなたが神と人とに、力を争って勝ったからです」。
(創世記32:24-28)

Jacob in gevecht met de engel(御使と格闘するヤーコブ)
http://www.theunis.nl/Marc%20Chagall.htm
2006-01-01 [ Sun ]
最後の7つの災害が満ちている7つの鉢を持っていた7人の御使の
ひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。小羊の
妻なる花嫁を見せよう」。この御使は、わたしを御霊に感じたまま、
大きな高い山に連れて行き、聖都エルサレムが、神の栄光のうちに、
神のみもとを出て天から下ってくるのを見せてくれた。
その都の輝きは、高価な宝石のようであり、透明な碧玉のようであった。
それには大きな、高い城壁があって、12の門があり、それらの門には、
12の御使がおり、イスラエルの子らの12部族の名が、それに書いて
あった。東に3つの門、北に3つの門、南に3つの門、西に3つの
門があった。また都の城壁には12の土台があり、それには小羊の
12使徒の12の名が書いてあった。
(…)
わたしは、この都の中には聖所を見なかった。全能者にして主なる
神と小羊とが、その聖所なのである。都は、日や月がそれを照す
必要がない。神の栄光が都を明るくし、小羊が都のあかりだからである。
諸国民は都の光の中を歩き、地の王たちは、自分たちの光栄をそこに
携えて来る。都の門は、終日、閉ざされることはない。そこには
夜がないからである。人々は、諸国民の光栄とほまれとをそこに
携えて来る。しかし、汚れた者や、忌むべきこと及び偽りを行う
者は、その中に決してはいれない。はいれる者は、小羊のいのちの
書に名をしるされている者だけである。
(黙示録第21章)

ヨハネによる黙示録(全22章)の最後の部分、「ハルマゲドン」ののちに救済された
新しき、永遠のイェルサレムの描写。
毎年新年になるとなぜかこの場面と、黒人霊歌 "Jerusalem, Jerusalem" を思い出す。

♪ The Holy City
http://www.cyberhymnal.org/htm/h/o/l/holycity.htm
http://www.cyberhymnal.org/mid/h/o/l/the_holy_city.mid (midi)
2005-12-28 [ Wed ]
投稿日:2000/09/14(Thu) 17:27:38 No.2

「つまんない骨董でも、つまんないこと教えてくれる」
その言葉はまったく同様に人間に対しても発せられ、
「あたし、盗みの名人なのよ。いい人間に会えたらいいとこ
盗んじゃうし、どんなつまんない人でも必ずいいところはある」
(…)
骨董の目利きになるのは不可能として、せめて白洲さんの人間を
見抜く能力と包容力の百分の一でもあやかることができたなら、
と願いつつ、私は訊ねた。
「見えるようになるまでは、少し時間がかかりますね」
すると白洲さんは間髪入れず、
「少しどこじゃない。一生かかってんの、あたし」
まるで平凡な器のどこかに何か取り柄はないかしらと探るような目で、
大きな瞳をギョロリと動かしながら、私を見つめ、にっこり笑われた。

阿川佐和子:白洲正子『遊鬼 わが師 わが友』新潮文庫・解説より
2005-12-16 [ Fri ]
靄に包まれて生まれたそれは 淡い橙色をしていた
わずかに見上げた高さにぽってりと浮かんで
こわばりかけた魂を優しく仄かに照らす
そう この色はまさしく
待降節に1本1本灯されていく
蝋燭の炎の色

おぐらきこの日々夜々に 光をたまえや

人工照明の洪水を 眼も耳も閉じて通り抜けてきたら
無窮の冷気に磨きぬかれ 漆黒の海を漂い上ってきた真珠母は
もうずいぶんな高みに 皓々と冴えわたっていた
あとほんの数刻のちに 冬のもちづきとなって天蓋を飾るために

あとほんの数日のちに 闇が光に勝つ日が来る
悲しんではいけない
その日が 待ち望む新しい春のはじまり

心の天空にひとつ 真珠母の灯をともそう

-- auch an meinen verspaeteten geburtstag 7. Dezember gewidmet --
2005-12-01 [ Thu ]
da unten im tale
laeuft's wasser so trueb,
und i kann dir's net sagen,
i hab' di so lieb.

sprichst allweil von liebe,
sprichst allewil von treu',
und a bissele falschheit
is auch wohl dabei.

und wenn i dir's zehnmal sag,
dass i di lieb und mag,
und du willst nit verstehn,
muss i halt weitergehn.

fuer die zeit, wo du gliebt mi hast,
da dank i dir schoen,
und i wuensch, dass dir's anderswo
besser mag gehn.

(Swabian folksong , from deutsche volkslieder mit ihren original-weisen (Berlin, 1838-40)
music by Johannes Brahms, op. 97 no. 6 (1885), published 1886)

http://www.karadar.com/Lieder/brahms_7.html

wir wissen doch, unsre zeit geht rechtzeitig vorbei.
umsosehr danke ich dir fuer die teilnahme und den takt von dir,
was mich so lange jahre immer begleitet hat
und hoffentlich weiter begleiten moechte.
und weisst du, deine stimme und worte beruehren und ruehren mich immer noch ...
2005-11-29 [ Tue ]
涙してパンを食んだことのない者は
憂いの夜々を
床に座して泣き明かしたことのない者は
知らないのだ、汝ら天上の力を

wer nie sein brot mit traenen ass,
wer nie die kummervollen naechte
auf seinem bette weinend sass,
der kennt euch nicht, ihr himmlischen maechte.

ihr fuehrt ins leben uns hinein,
ihr lasst den armen schuldig werden,
dann ueberlasst ihr ihn der pein,
denn alle schuld raecht sich auf Erden.

(J.W.v.G.)

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